羊と鋼の森
こんにちは。
朝から大変な大雨ですね。
なんでも台風の影響で発達した低気圧がお越しになっているそうで。
雨は嫌ですけど、気温が低くて部屋で過ごす分にはなんとも心地よいものです。
さて、昨日読んだ本の紹介。
著・宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋)
ご存じの人も多いのではないでしょうか。
2015年に本に関する賞を数々受賞。驚異の三冠を達成した話題の作品です。
最近ではどこの本屋にも必ずと言っていいほど大量に平積みされていますね。
前からずっと読みたかったのですが、ハードカバーということもあり、お財布事情を考えると文庫になるまで手を出せないなと嘆いていたところ、例によってバイト先の店長が持っているというお話を聞きお借りすることに成功。
このたび念願かなって読むことができました。
いつもありがとうございます。
さて、感想です。
よかった。すごくよかった。それに尽きます。
感想を書こうにも、読んだ後の感情を表現する言葉が思いつきません。。
自分の表現力のなさ、ボキャブラリーの薄さを改めて実感し、すごく歯がゆいです。
とにかく三冠だとか、話題の作品とかそういう肩書きに納得のいくものでした。
簡単な内容としては
ある調律師のピアノの調律な立ち会った主人公がその美しさに魅せられ、調律師生きていくことを決める。調律師になった主人公が調律を行う中で調律師として成長する姿、また人として成長していく姿を描かいた作品です
読んでまず文章の美しさに魅せられました。
低い温度の淡々とした物語の進行。数々の比喩表現。
そして特に音に関する表現が素晴らしかったです。
調律を題材にするにあたって、音の表現というものは一番の肝だと思います。どれだけ読者に自分の考える音を伝えるのかということが重要になる内容で、見事な表現力を見せつけられました。
文字の羅列で音を奏でるといいますか。
「文章」を読んでいるのに「音」に感動してしまう。初めてそんな体験をしました。
もうひとつ素晴らしいなと思った点は、人物像の儚さの表現です。
板鳥という登場人物が出てきます。
その人物の調律をきっかけに主人公は調律師を志すのですが、この板鳥さんの書かれ方に作者のすごさを感じました。
私は近くにいるけど触れられない無色透明という感じでしょうか。
すごく切なく儚い存在に書かれていると感じました。
もちろん読んでいる人の数だけ解釈や捉え方があります。違う風にとらえるひともきっといるでしょう。
書きたいことはまだまだつきませんが、ぜひ手に取って読んでいただきたいのでこの辺で。
本って読む人の心の調子だったり、体調であったり、年齢であったり、その日の季節、天気、時間、その時の気温、湿度であったりと、その人を取り巻く環境でどう思ったか、どんな解釈をしたか、どんな感想をいだいたか、どんな気持ちになったかは絶対に違ってくるものだと思います。
好きな本にはいつまでも良い思い出がついてくるし、
苦手な本についてははあまり覚えていないものです。
私は昨日のあの環境でこの本を読めてよかったと思います。
この本を読んだこと。そして、 読み終わって改めてタイトルの意味を考えた時のなんとも言えない高揚感は忘れないと思います。
色んな人に手にとってもらい読んでもらいたいなぁ。
それではノシ